開催日:2019(令和元)年 5月17日(金)
開催場所:新潟県民会館小ホール
2019年5月17日(金),新潟県民会館において,2019年度支部総会と第47回地すべりシンポジウムが開催されました。参加者は126名でした。
地すべりの発生原因や運動形態は,そこでの地質・水理構造や地形条件などによって千差万別ですが,なかには現在の知見では解釈の難しい現象がみられることも少なくありません。そのような現象の解明を試みることは,工期や予算の制約などもあり簡単な話ではありませんが,今後の地すべり研究の発展に大きく寄与する重要な挑戦と考えられます。そこで,今回の地すべりシンポジウムは,「新潟の地すべりに見られる特異な現象」にスポットをあて,その要因解明につながるアイデアや調査手法について議論することを目的に開催されました。
午前の部は,元日本地すべり学会長で前弘前大学教授の檜垣先生より,「ネパールにおける低コスト砂防工法とその効果検証‐20年間の変化‐」と題して特別講演を行っていただきました。午後の部は民間の技術者がこれまでに経験した「特異な現象」の事例報告があり,明治コンサルタント(株)の高橋氏からは活動時期に特異性がある青ぬけ地すべり,(株)村尾技建の本田氏からは移動距離に特異性がある湯の沢地すべり,(株)日さくの佐藤氏からは堆積軟岩地域では珍しいトップリング型地すべり(新山地すべり),(株)キタックの伊藤氏からは地山の膨張性に起因する長大切土法面の変状について,それぞれご発表いただきました。また,日本原子力研究開発機構の西山氏からは,間隙水の塩濃度低下がもたらす地すべりの素因形成について,東頸城丘陵をフィールドとしたこれまでの研究成果を紹介していただきました。
総合討論は,発表者の方々にご登壇いただき,パネルディスカッション形式で行いました。ここでは,各発表現場の詳細に関する多くの質問があり,参加者の関心の高さがうかがえました。更に今後の展望として,特異な地すべり現象を解明あるいは予測する上での着目点や有効な調査手法などについて活発な討論がなされました。シンポジウム終了後は会場を白山会館に移して意見交換会が行われ,午後7:00過ぎに散会しました。
(文責:新潟支部副幹事長 渡部哲也)